業界コラム

【書籍】負けたのはあなたのせい——カジノディーラーの本音を笑いに変えた塗り絵本『You Bet Wrong, Not My Fault』

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rakibuta

華やかなライト、カランと響くチップの音。
一見きらびやかに見えるカジノの世界ですが、
そのテーブルの内側には、静かな戦場があります。

「勝てば天国、負ければ地獄」。
お客の機嫌ひとつで空気が変わり、
笑顔の裏では、冷静と忍耐がせめぎ合う。

そんな現場で働くカジノディーラーのリアルな心の声を描いた一冊が、
You Bet Wrong, Not My Fault: A Snarky Casino Dealer Coloring Book』です。

著者はカジノディーラーのMiss Deal(ミス・ディール)
タイトルの意味は「あなたが賭けを間違えた、それは私のせいじゃない」。
まさに、日々責められ続けるディーラーたちの代弁でもあります。

この本は風刺イラストと短いセリフで構成された“塗り絵”です。
ページをめくるたびに、笑いと共感、そして少しの哀愁が込み上げてきます。
カジノディーラー経験者なら、思わず「あるある」と頷くはずです。

書籍情報

書籍名You Bet Wrong, Not My Fault: A Snarky Casino Dealer Coloring Book
著者Miss Deal
出版日2025年8月1日
ページ数52ページ
言語英語

「誰かの失敗した賭けのせいにされたことある?」
ようこそ、カジノディーラーの世界へ。
チップが飛び交い、飲み物がこぼれ、客は運を操っていると思い込む場所。

『賭けを間違えたのはあなたのせい、私のせいじゃない』は、
ディーラーの視点から描かれた皮肉たっぷりの爆笑塗り絵です。
酔っ払いの暴言から“親切すぎる”プレイヤーまで、
そして「お前が負けた原因だ」と叫ぶ客たち。
各ページには、ピットでの混沌とコメディ、そして静かな苦悩が詰まっています。

Amazon紹介文より

現場を知る3つのイラスト

この本は、ディーラーの日常を一枚絵で切り取った風刺の連続です。
ここでは、日本のカジノの現場でも共感できる3枚を紹介します。

You are a killer! ーお前が俺を殺した!

① You are a killer!(お前が俺を殺した!)

「お前が俺を殺した!」

『17でヒットしたのはあなたですよ。』

ブラックジャックで負けた客が怒鳴る定番シーン。
自分のミスで負けたにも関わらず、
「お前のせいだ」とディーラーに八つ当たりする客はどこにでもいます。

それに対してディーラーは、冷たい目でこう思います。

“…and yet, you’re the one who hit on a 17.”
(でも17でヒットしたのはあなたですよ。)

日本語にすれば「自滅したのはあなた」。
理不尽を受け流す職業の辛さと皮肉が込められています。

This job is 10% dealing, 90% pretending. ーこの仕事は10%がディーリング、90%が“演技”

②	This job is 10% dealing, 90% pretending.

この仕事は10%がディーリング、90%が“演技”

ディーラーは「冷静で笑顔であること」が仕事の一部です。
客が怒鳴っても、酔っていても、勝手なクレームを言っても、
笑顔を保たなければならない。

このページのディーラーは、うんざりした表情で頬杖をつきながら、
「今日も笑顔を貼りつける」自分を演じています。

表の華やかさと裏の精神的疲労。
このギャップこそ、カジノ業界共通の“プロ意識”の象徴です。

For The Players Who Make It Worth Coming Back ーまた会いたいと思えるプレイヤーのために

For The Players Who Make It Worth Coming Back

また会いたいと思えるプレイヤーのために

このページは、本書の中でも最も温かいシーンです。
テーブルの向こうで笑顔を見せる常連客。
それに対してディーラーも柔らかく微笑んでいます。

「またこの人に会いたい」
「このプレイヤーがいるから頑張れる」

そんな気持ちは、どんな業種でも働く人に共通するものです。

日々の理不尽な客ばかりが印象に残る中、
ときどき現れる“人として気持ちのいい客”が救いになる。
この絵は、「接客の喜びは、良いプレイヤーが作る」という真理を静かに語っています。

カードの扱い方には、その人の人間性が表れる

本の最後のイラストに、著者Miss Dealのメッセージが添えられています。

カードの遊び方には、その人の人間性が表れると私はいつも信じている。

ディーラーになったことで、その考えが確信に変わった。

優雅に負ける客もいる。

勝っても品のない客もいる。

この本は混沌(カオス)を描いている。でも心に残るのは“良い客”たちなんだ。

心を込めてチップをくれる人、自由に笑う人、私たちを“人間”として扱ってくれる人へ――ありがとう。

私たちがまたこの仕事に戻ってくる理由は、あなたたちなんだ。

笑って癒される「ディーラーのセラピー本」

You Bet Wrong, Not My Fault』は、
カジノディーラーの日常を「笑い」で癒すための一冊です。

表面的にはジョーク満載の塗り絵本ですが、
ページの裏には、感情労働・接客ストレス・職業倫理といった
リアルなテーマが描かれています。

著者のMiss Dealは、かつて実際にカジノで働き、
「負けた客の怒りを毎日受け止めるうちに、
自分の感情を守るために“ユーモア”を選んだ」と語っています。

まさにこの本は、ストレスをアートに変えたセラピー作品です。

ディーラー志望の方にとっては、
「カジノディーラーの世界」を知る教材として。

現役ディーラーにとっては、
「理不尽を笑いに変えるマインドセット」を学ぶ教材として。

この本を手にとってページをめくれば、
笑いながら、少しだけ心が軽くなるはずです。


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LuckyPig
らきぶたです。 カジノやカジノディーラーの世界に興味を持ち、いろいろ調べて学んでいます。 “知らない世界を知る面白さ”を感じながら情報をまとめています。
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