日本のIR法制とは?カジノが限定的に合法化された理由とIR整備法のポイントを解説
日本では、カジノを含む統合型リゾート(IR)が国家プロジェクトとして推進されています。
これまで日本の刑法では賭博行為が原則として禁止されていましたが、
IR関連法(2016・2018年の二段階立法)によって、限定的に合法化されました。
この記事では、カジノディーラーを目指す方のために、
IRに関する法律の基本構造とその背景をわかりやすく解説します。
IR(統合型リゾート)とは?
IR(Integrated Resort)とは、カジノだけではなく、
ホテル・国際会議場・展示施設・商業施設・エンタメ施設などを
一体的に整備した複合観光施設のことです。
世界ではすでに、マカオやシンガポール、ラスベガスなどで多くのIRが存在し、
観光・経済の中心的役割を担っています。
日本でも観光立国の一環として、外国人観光客の誘致、地方経済の活性化、雇用創出を目的に整備が進められています。
IR関連の基本法体系
日本のIRに関する法律は、次の2つの法律を中心に構成されています。
この2本の柱によって、IRは「国の方針」と「運営ルール」が法的に定められています。
| 分類 | 法律名 | 内容 |
|---|---|---|
| ① 基本法 | 特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(IR推進法) | 日本にIRを導入することを国の方針として定めた法律。2016年12月成立。 |
| ② 実施法 | 特定複合観光施設区域整備法(IR整備法/カジノ法) | IR区域の指定、カジノ運営のルール、監督制度、依存症対策などを具体的に定めた実施法。2018年7月成立。 |
IR推進法(基本方針を定める法律)
概要
IR推進法は2016年に制定された、いわば「IR導入の宣言法」です。
この法律自体でカジノの運営を認めるわけではなく、IRを日本に導入することを国家方針として定めた点が特徴です。
主な内容
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 観光振興、地域経済の発展、雇用の創出を目的とする。 |
| 政府の責務 | 内閣がIR整備の基本方針を策定し、国として推進する。 |
| 意義 | 「IR整備法(実施法)」を制定する土台を作る。 |
IR整備法(カジノを合法化した実施法)
概要
IR整備法は2018年に成立した、カジノ合法化の実際的な枠組みを定める法律です。
刑法の賭博罪(第185条・186条)を「IR区域内・認定事業者の運営に限り」除外し、カジノを合法としました。
あくまで 区域限定での特例合法化 であり、区域外やオンラインカジノは引き続き賭博罪の対象です。
主な内容
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 合法化の根拠 | 刑法の賭博罪の適用を除外し、国が認定した区域内でのカジノ運営を合法化。 |
| 施設の条件 | IRはカジノだけでなく、ホテル・MICE・展示・商業施設などを一体的に整備。 |
| 区域指定制度 | 最大3か所まで認定可能。2025年時点では「大阪府・大阪市」が認定済。 |
| 運営主体 | 認定されたIR事業者が運営。 |
| 監督機関 | 内閣府外局の「カジノ管理委員会」が監視・免許発給・監査を担当。 |
| 入場制限 | 7日間3回・28日間10回(政令で規定)。入場料6,000円。 |
| 依存症対策 | 広告規制、家族申請制度、相談支援などを導入。 |
| 税金・納付金 | 収益に対し30%の納付金(国15%、自治体15%)。 |
| マネロン対策 | 本人確認・取引記録など、国際基準に準拠。 |
IR整備法と刑法の関係
IR整備法は、刑法の賭博罪に対して特例としての除外規定を設けています。
[刑法185条・186条]:賭博を原則禁止
↓
[特別法:IR整備法]:一定条件下でのみ合法化(区域内・認定事業者限定)
↓
[監督機関:カジノ管理委員会]が厳格に監視
このように、カジノは「自由に認められた賭博」ではなく、
国が許可し、強く監視する“限定的な賭博” として位置づけられています。
関連する補完法制度
IR運営には、依存症対策やマネーロンダリング防止など、多くの関連法が連動しています。
| 法律名 | 目的 | 関連内容 |
|---|---|---|
| 賭博依存症対策基本法 | 依存症の予防・治療・社会復帰を支援。 | IR整備法と同時期に制定。オンライン賭博誘導の規制も強化。 |
| 犯罪収益移転防止法 | 不正資金の流入防止。 | カジノ事業者に本人確認・報告義務。 |
| 観光立国推進基本法 | 観光を国家戦略とする。 | IR整備を観光政策の一部として位置づけ。 |
| 地方自治法 | 自治体の区域申請・運営協定。 | 自治体が事業者を選定し、国に申請。 |
現在のIRの進捗(2025年時点)
| 地域 | ステータス | 主要事業者 | 開業予定 |
| 大阪府・大阪市 | 認定済(2023年4月14日) | MGMリゾーツ/オリックス | 2030年開業予定 |
| 長崎県 | 未認定(2023年12月27日 国交省が不認定を発表) | カジノオーストリアグループ | ― |
| 北海道・和歌山・横浜 | 構想撤退または保留 | ― | ― |
大阪IRは関西経済の新たな成長拠点として期待されており、世界最大級の統合型リゾートとなる見込みです。
カジノディーラーに関係するポイント
カジノディーラー志望者にとって、IR整備法は単なる法規ではなく「職場環境のルールブック」と言えます。
この法律により、ディーラーは以下のような条件のもとで働くことになります。
- カジノ管理委員会の厳格な監督のもとで運営される。
- 法令遵守(コンプライアンス)教育が必須。
- 顧客の本人確認や不正防止の意識が求められる。
- 国際水準のサービス・マナー・英語対応が必要。
つまり、IR時代のカジノディーラーは「エンターテイナー」であると同時に、公的責任を持つ専門職なのです。
まとめ
IR(統合型リゾート)関連法は、「カジノを解禁する法律」ではなく、
観光・経済振興を目的とした国家プロジェクトを安全に運営するための制度です。
カジノは厳しい監督のもとに合法化されており、運営事業者やディーラーは高い倫理観と法令遵守が求められます。
これからIRで働きたい人は、この法体系を理解し、安心して働ける環境づくりの一翼を担う意識を持つことが大切です。

【免責事項】
本記事は公開情報および一般的な法解釈に基づき、賭博関連法制についての概要をまとめたものです。
内容の正確性には努めておりますが、最新の法改正・行政解釈・判例等を完全に保証するものではありません。
また、本記事は法律的助言を提供するものではなく、特定の判断を推奨する意図もありません。
個別ケースにおける正確な法的判断が必要な場合は、弁護士などの法律専門家へご相談ください。
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